にほんかぼちゃ (日本かぼちゃ)

学名  Cucurbita moschata (C.moscata var. meloniformis)
日本名  ニホンカボチャ
科名(日本名)  ウリ科
  日本語別名  ボウブラ、トウナス、ナンキン
漢名  南瓜(ナンカ,nánguā)
科名(漢名)  葫蘆(コロ,húlu)科
  漢語別名  蕃瓜(バンカ,fānguā)・蕃南瓜、倭瓜(ワカ,wōguā)、香瓜(コウカ,xiāngguā)、中國南瓜、北瓜、飯瓜、
英名  Pumpkin, Winter squash
ボウブラ  2004/08/04 東大農園(西東京市)
f. toonas サイキョウカボチャ(トウナス)
  2004/08/17 薬用植物園

2004/07/10 同左
シシガタニ(鹿ケ谷)
  2006/08/28 明治薬科大学薬草園

2008/07/21 薬用植物園
2022/10/19 薬用植物園 
ハヤト  2008/07/21 神代植物公園 2009/11/26 同左
 多くの系統・品種がある。大別すると次の二系統に分れる。
 一は実がヒョウタン型にまん中でくびれるもので、カボチャ・サイキョウ(西京)カボチャ・フクベカボチャ・トウナス(唐茄子)・シガタニ(鹿ケ谷)などと呼ばれる。
 一はボウブラ系で、実はやや扁平な球形をなす。チリメン(縮緬)カボチャとキクザ(菊座)カボチャに分れる。
 
 カボチャ属 Cucurbita(南瓜屬)の植物については、カボチャ属を見よ。
 和名カボチャは、原産地と勘違いされたカンボジア Cambodia(現地名はカンプチア Kampuchea)の転訛。
 ボウブラは、ポルトガル名 abobora の転訛。
 『大和本草』に南瓜{ホウフラ}と、「南京ボウブラアリコレハクビアリ」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』(1806)24南瓜に、「ボウブラ ボウブナ
肥前 ボブラ加州 ナングハ仙台 サツマ備前」「京師ニテハ誤テ カボチヤト呼」と、また「・・・トウナスビト云、一名カボチヤ カボチヤボウブラ ナンキンボウブラ 日向ウリ豫州」と。
 本山荻舟『飲食事典』(1958)によれば、「関東ではトウナス、関西ではカボチャまたはナンキン、九州ではボウブラという」と。
 東アジアで近世以来栽培してきたカボチャはニホンカボチャ C. moschata、メキシコ南部・中央アメリカ原産。
 肉質は粘質で、煮崩れしにくい。
 中国では、元代に「南瓜」が栽培されていた(『飲食須知』)
 日本には、天文10(1541)年ポルトガル船が豊後神宮寺浦に漂着した時、大友宗麟(1530-1587)にカボチャなどの種を伝えた。宗麟は、これらを播いて栽培した。天正(1573-1592)年間には長崎でも栽培。
 延宝
(1673-1681)・天和(1681-1684)年間に京都に入り、明和(1764-1772)年間江戸に入る。天保(1830-1844)飢饉以来救荒作物として急速に広まった。
 第二次世界大戦中・戦後の食糧難時代にも、空地で栽培され、飢えを救った。
 熱帯アジアでは、普通栽培するものはニホンカボチャ。
 果実を蔬菜とし、煮物・汁の実・漬物などにして食う。
 中国では、種子を白瓜子(ハクカシ,báiguāzĭ)・南瓜子(ナンカシ,nánguāzĭ)・倭瓜子(ワカシ, woōuāzĭ)と呼び、日干しにするか炒るかして、食用に、また薬用に供する。 『全国中草葯匯編』上/581-582
 日本では、保存が利くので、冬至に食べる習慣がある。

   金と赤との南瓜
(ぼうぶら)のふたつ転がる板の間に、
   「共同医館」の板の間に、
   ひとり坐りし留守番のその媼
(おうな)こそさみしけれ。・・・
     
北原白秋「糸車」(『思ひ出』1911)より
 

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